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フランス国立図書館(BNF)のデジタル書庫"Gallica"で見つけた百年前の月刊誌「ジュセトゥ」(Je sais tout=私はすべてを知る、という意味)や新聞「フィガロ」(Figaro)等から記事や画像を紹介。(現在1910年で進行中)


by utsushihara

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セーヌ県第6号民事法廷《予期せぬ双生児》裁判

1908年1月16日(木)

1906年のこと。パリ郊外ヌィイ市のある医者は、家事全般のため若く美しい小間使を雇い入れた。その娘はとてもきれいだったので主人は彼女を愛するようになり、その結果として彼女は妊娠した。医者は正直な男だったので、彼自身に対しても、また彼女に対しても義務を認めない訳には行かなかった。状況がこのような結果となったことが明らかになるやいなや、彼は小間使に暇を出し、その際に出産まで彼女に毎月100フランの手当を出すことを約束した。また子供が生まれた後は、その手当を45フランに減らすことにした。
しかし、子供は女の子が2人生まれたのである。生まれた双生児は、その出現の同時性によって、人間の予測の不確実性と科学の可誤性を実証することとなった。以下が訴訟の争点となった。

若く美しい母親は、元の雇い主に90フラン(45×2=90)を要求した。「あなたはどうするつもりだったのでしょうか?責任を認めた損害を弁償することでしょ。過ちを正々堂々と認めた結果が想定外の重大さだったと言うんですか?どうしたいんですか?事件は毎日のように起きています。狩猟家の下手な鉄砲が森番の目に当たったら、賠償しなければなりません。それで傷が重くて失明したら、もう片方がなかったら養っていくしかないでしょう。狩猟家には気の毒ですが。
あなたは別なケースの事件の加害者なのです。しかもあなたの診断が甘かっただけです。結果は単純に1つが2つになったんです。本当に残念です!でも賠償は損害に合わせてもらわなければ、・・・90フラン、お願いします!」

医者は答えた。「絶対払うもんか!双子が生まれる前から毎月100フランを送っていたのはあなたのためであり、それ以外のためではない。こう言ったはずだし、こう書いた:私はあなたの体調が回復し、仕事につくことが可能となったときから毎月45フランの手当を支払うことをここに互いに確認する。・・・出産の偶然で費用が2倍になったとしても、私が犠牲となって負担する45フランの限度を超えさせる理由にはならない。私が善意によって締結した契約を実行するしかない。それ以上でもそれ以下でもない。」

さて判決はどうなるか?ソロモンはヘブライ語を忘れたようであり、ポーシャは裁判官のカツラを脱ぎ去ったようである。昨日の第6法廷では?

その前に、悲しいことにほとんどが調整されていた。双生児の1人が生後6ヶ月で死亡したため、問題が簡単になっていた。亡くなった子供については270フラン(45×6=270)の争いとしかならないのである。問題は少なからず微妙なところである。マレィイ裁判長のもと口頭弁論がなされ、法廷は熟考のため8日後に再開される。

出典Crédit:©BNF-Gallica #287970 « Le Figaro » le 17 Jan. 1908
Gazette des Tribunaux : Tribunal de la Seine (6e chambre) – La jumelle imprévue

[ Ψ 蛇足 ]
ソロモン(Salomon)は旧約聖書のヘブライ王で名裁判をした。ポーシャ(Portia)は「ヴェニスの商人」で裁判官に男装してシャイロックを裁く。

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by utsushihara | 2008-01-16 17:37 | フランス社会政経1909-10