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フランス国立図書館(BNF)のデジタル書庫"Gallica"で見つけた百年前の月刊誌「ジュセトゥ」(Je sais tout=私はすべてを知る、という意味)や新聞「フィガロ」(Figaro)等から記事や画像を紹介。(現在1910年で進行中)


by utsushihara

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仏版新作劇「シャーロック・ホームズ」の初演

仏版新作劇「シャーロック・ホームズ」の初演_f0028703_18115633.jpg1907年12月20日(金)

12月20日午後8時15分、アントワーヌ座で新作「シャーロック・ホームズ」(Sherlock Holmes)5幕6場が初演される。これはアーサー・コナン・ドイル卿の原作にもとづきピエール・ドゥクールセル氏が脚色したものである。おもな配役は下記の通り。
シャーロック・ホームズ(Sherlock Holmes): フィルマン・ジェミエ(M. Firmin Gémier)
モリアーティ教授(Professeur Moriaty): アリー・ボール(M. Harry Baur)
ワトソン医師(Docteur Watson): ジョルジュ・サヤール(M. Georges Saillard)
アリス・ブレント嬢(Miss Alice Brent): イヴォンヌ・ド・ブレー(Mlle Yvonne de Bray)
マレー・オールバー氏(Mr. Murray-Orlebar): シャルリエ(M. Charlier)
マッジ・オールバー夫人(Madge Murray-Orlebar): ルネ・コジェ(Mme Renée Cogée)
アリスの母ブレント夫人(Mistress Brent): ジャンヌ・エヴァン(Mme Jeanne Even)

素人探偵シャーロック・ホームズの人物像は、ここ2年余りでわが国のヴィドック(Vidocq)やルコック(M.Lecoq)以上に人気が高まり、アントワーヌ座の支配人でもあるジェミエ氏は舞台で取り上げたいと思っていたが、バカンスの頃に一緒に自動車遊覧していたピエール・ドゥクールセル氏の脚色の申し出を受け入れたのである。この劇作品は、コナン・ドイル卿の原作に彼が「四つの署名」や「空き家の怪」等々の作品から色々な要素を取り込んでいる。
また主演のジェミエ氏(↑)は、このヴァイオリンを奏き、モルヒネを好む一風変わった探偵の役作りにこだわり、両世界のもつれた謎を注意深く解きほぐそうとする。それに相対するモリアーティ教授も劣らず風変わりな人物であるが、アリー・ボール氏の独特の強烈な個性と才能は多くの人々の賞賛を得ることだろう。

出典Crédit:BNF-Gallica #102982 « Je sais tout » No.37; Fév. 1908
出典Crédit:©BNF-Gallica #287942 « Le Figaro » le 20 Déc. 1907

仏版新作劇「シャーロック・ホームズ」の初演_f0028703_18122980.jpg[ Ψ 蛇足 ]
(←)作者のピエール・ドゥクールセル(Pierre Decourcelle, 1856-1926)は、1880年代から劇作品やオペラ・コミック台本を量産したが、画期的な傑作は生み出せなかった。小説「二人の少年」(Les Deux Gosses, 1880)が一番良く知られ、劇化され映画にもなった。1908年以降、映画制作に傾注し、映画作家協会を創設する。上記の「シャーロック・ホームズ」は翻案劇であり、創作ではなかったので後世の記録ではあまり言及されていない。しかし初演当時は推理小説の隆盛期であり、アルセーヌ・ルパンをしのぐ名探偵ぶりはフランスでも大いに注目され、雑誌「ジュセトゥ」でも、かつてホームズ物では「踊る人形」(Les Danseurs)、あるいはドイルの恐怖短篇「黒城館の領主」(Le Seigneur du Château noir)などを掲載している。この仏語版「ホームズ」劇も全編「ジュセトゥ」で1908年2月~4月号に連載されているので、興味のある方は参照されたい。(翻訳しようと買って出る方がいたら嬉しい。)
仏版新作劇「シャーロック・ホームズ」の初演_f0028703_11182737.jpg

(参考:第1幕の冒頭のト書き)
ロンドンの中心部からは遠く離れた地区にある古く朽ち果てた寂しいマレー家の屋敷のサロン。しかし広々としており、ある種の尊大な面影を残している。中央奥には階段があり、踊り場を経て二階へ通じている。左手の扉は玄関に通じている。右手の大部分は大きな窓で占められている。かつては見事だった調度品は古風で色あせている。ピアノが一台。階段の左側に書斎の書き物机または戸棚があり、中に文束の入った金庫が見える。ランプの灯りが点いている。

*参考サイト:Wikipedia(仏語)Pierre Decourcelle
**これまでの関連記事france100.exblog:芸術家のラントレ(4)演劇界(1906.09) レジャーヌ/ジェミエ/ギトリ

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by utsushihara | 2007-12-20 18:06 | オペラ、音楽、演劇1907-08