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フランス国立図書館(BNF)のデジタル書庫"Gallica"で見つけた百年前の月刊誌「ジュセトゥ」(Je sais tout=私はすべてを知る、という意味)や新聞「フィガロ」(Figaro)等から記事や画像を紹介。(現在1910年で進行中)


by utsushihara

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ロイ・フラー嬢の「サロメの悲劇」上演

ロイ・フラー嬢の「サロメの悲劇」上演_f0028703_1550164.jpg1907年11月9日(土)

11月9日20時30分から芸術座では新しい3本立の出し物の初演が行なわれた。最初の2つは短い喜劇で、最後にロベール・デュミエール氏の詩にもとづいた無言劇「サロメの悲劇」が上演された。音楽はフロラン・シュミット氏で、ロイ・フラー嬢が主役のサロメを踊っている。

出典:BNF-Gallica #102981 « Je sais tout » No.35; Déc. 1907
画像 Crédit d’image : © Streetswing.com : Dance History Archives

*「フィガロ」11月1日付の記事から:
芸術座では「サロメの悲劇」の演出準備の大詰めをむかえているが、主演のロイ・フラー嬢は猛烈な仕事によるひどい疲労にもかかわらず、ロンドンに赴いた。そこの優れた電気技師が彼女のために特別に新しい照明器具を製作したためであり、最初に日曜日のバティニョル大通りのこの劇場で使用される。
出典Crédit:BNF-Gallica #287893 « Le Figaro » le 1er Nov. 1907

[ Ψ 蛇足 ]
ロイ・フラー(Loïe Fuller, 1862-1928)は米国出身の舞踊家である。始めは米国の劇場で踊っていたが、白絹のたっぷりとした蝶のような衣装と新しい電気照明技術を生かした独特の舞踊表現を持ってパリに渡り、1890年代にその幻想的・神秘的な踊りで世紀末の観衆を魅了した。
「サロメの悲劇」(La Tragédie de Salomé)は、新約聖書にあるサロメの話を詩に作ったロベール・デュミエール(Robert d’Humières, 1868-1915)が自由に2幕のパントマイム劇にしたものである。彼は貴族の家柄で、プルーストの友人の一人でもあり、英国の「ジャングル・ブック」の作者キップリング作品の仏訳などにも力を注いだ。
デュミエールの依頼で音楽を担当したフロラン・シュミット(Florent Schmitt, 1870-1958)はドイツ風の名前が多いロレーヌ地方の出身で、パリ音楽院でマスネとフォーレに師事した。1900年にローマ大賞を獲得し、その留学の成果を「詩篇47」(Psaume 47, Op.38)で発表し好評を得た。舞踊音楽「サロメの悲劇」(La Tragédie de Salomé, Op.50)は5つの部分からなる30分足らずの曲だが、壮大な空間の広がりとフランス音楽の持つ豊かな色彩を感じさせ、スケールの大きな音響がある。

*参考サイト:
(1)Wikipedia(仏語)Loïe Fuller
(2)Princeton University Press ; « Electric Salome » - Loie Fuller's Performance of Modernism by Rhonda K. Garelick (英論文)「電気的なサロメ~ロイ・フラーのモダニスム舞踊」

[ ΨΨ 蛇足×2 ]
フロラン・シュミット(Florent Schmitt, 1870-1958)の名前は幸か不幸か、類似名の同時代のオーストリアの作曲家フランツ・シュミット(Franz Schmidt, 1874-1939)と同一視されたり、混同されたりしている。ややこしいのは、後者のほうにユゴー原作の歌劇「ノートル・ダム」(Notre Dame)が代表作として残されていることである。さらに室内楽でも「ピアノ五重奏曲」をそれぞれが作っていて主要曲になっており、珍しいことだが、曲想はフロランのほうにフランス色が出ているので恐らく聞き分けることが出来るだろう。(N響アワーあたりで比較番組でもあれば面白い。)
by utsushihara | 2007-11-09 15:44 | オペラ、音楽、演劇1907-08