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フランス国立図書館(BNF)のデジタル書庫"Gallica"で見つけた百年前の月刊誌「ジュセトゥ」(Je sais tout=私はすべてを知る、という意味)や新聞「フィガロ」(Figaro)等から記事や画像を紹介。(現在1910年で進行中)


by utsushihara

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ゲテ座の「従軍商の女将」(ラ・ヴィヴァンディエール)

ゲテ座の「従軍商の女将」(ラ・ヴィヴァンディエール)_f0028703_17161147.jpg1907年10月

右掲(→)はフィガロ紙掲載のド・ロスク氏のイラストである。イゾラ兄弟はゲテ座の新シーズンの幕開けとして歌劇「従軍商の女将」(ラ・ヴィヴァンディエール)のガラ公演を行なった。この見事な公演は、その絶頂の最中で結婚により舞台を去ったはずのマリー・デルナ女史が久しぶりに復帰して、魅力的な歌唱を披露している。

出典:BNF-Gallica #102981 « Je sais tout » No.34; Nov. 1907
画像 Crédit d’image : ©CMN: Archives photographiques (Médiathèque du Patrimoine et de l'Architecture)

[ Ψ 蛇足 ]
マリー・デルナ(Marie Delna, 1875-1932)は19世紀末から20世紀初頭にかけて人気の高かったメゾ・ソプラノ歌手である。作曲家シャルル・グノー(Charles Gounod, 1818-1893)がいみじくも「深紅色の、そして黄金色の声」(La voix de pourpre et d’or)と評した美しい声は数多くのオペラの舞台で聴衆を魅了した。彼女の人生は小説の主人公のような栄枯盛衰の波乱に満ちたものだった。
ゲテ座の「従軍商の女将」(ラ・ヴィヴァンディエール)_f0028703_17163461.jpgパリの質素な職人の家に生まれた彼女は、幼少の頃に母親を亡くし、田舎の祖母のもとで育てられたが、6歳の頃、その家が洪水によって被害を受けたため、パリ郊外ムードンの駅前で小さな食堂を営むもう一方の祖母のところで養育された。女子修道院の学校で教育を受けた際に、彼女が歌う声の見事さに驚嘆して無償で声楽の勉強を受けさせることとなった。やがてオペラ・コミック座の支配人カルヴァーロ(Carvalho)がその歌を聞いてすぐさま出演を決めたほどであった。17歳の彼女のデビュは鮮烈であった。ベルリオーズ(Berlioz)の歌劇「カルタゴのトロイ人」(Troyens à Carthage)で大喝采を浴び、その後次々と主役を歌うという成功物語を地で行く華々しさであった。彼女がパリで初演したものには、マスネ(Massenet)の歌劇「ウェルテル」(Werther)のシャルロット役、ブリュノー(Bruneau)の歌劇「水車小屋の襲撃」(L’attaque du Moulin)のマルスリーヌ役、そしてバンジャマン・ゴダール(Benjamin Godard, 1849-1895)の最後の作品「従軍商の女将」(La Vivandière)のマリオン役がある。
この最後の「従軍商の女将」(ラ・ヴィヴァンディエール)は特に彼女のために書かれたもので、1895年のマダガスカル島へのフランス軍の遠征を題材としている。この作品は当時大評判となり、彼女の代名詞にもなった。
その後、パリのオペラ座でも歌ったあと、1903年にブリュッセルのモネ劇場で「カルメン」を歌ったとき、彼女は熱烈な恋に落ち、突然舞台から身を引き、ベルギーにとどまって家庭生活を営み、子供も産んだ。
上記の記事はその隠退の年月のあとに、劇的な復活を、しかも代表作「従軍商の女将」(La Vivandière)の再演で成しとげたときのことである。
彼女はその後もイタリアや米国での公演も行ない、パリ郊外モンモランシーに立派な邸宅も購入した。しかしながら最晩年は家族に見放され、投機の失敗から家屋敷を手放し、慈療院の一室で孤独と貧困の中で世を去った。57歳だった。

*参考サイト:
(1)Marie Delna, chanteuse au destin fabuleux(仏語)
(2)Le Petit Journal, supplément illustré le 21 avril, 1895
(オペラ=コミック座の「従軍商の女将」(La Vivandière)で主演のデルナ嬢)

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by utsushihara | 2007-10-02 17:15 | オペラ、音楽、演劇1907-08