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フランス国立図書館(BNF)のデジタル書庫"Gallica"で見つけた百年前の月刊誌「ジュセトゥ」(Je sais tout=私はすべてを知る、という意味)や新聞「フィガロ」(Figaro)等から記事や画像を紹介。(現在1910年で進行中)


by utsushihara

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ユイスマンスの「ルルドの群集」

ユイスマンスの「ルルドの群集」_f0028703_17351396.jpg1906年10月5日(金)

著名な作家J.K.ユイスマンス氏は10月5日、新著「ルルドの群集」を出版した。氏はこれまで「シーダムの聖女リドヴィヌ」、「大伽藍」、「出発」などの作品を想像力豊かで独特の文体をもって恐ろしいほどの真剣さで世に出してきた。彼はこの著作の中で、小さなベルナデット・スービルーの郷里で目にしたことすべて、行なわれていることすべて、考えられていることすべてに対して賞賛と嫌悪とを物語っている。

出典:BNF-Gallica #102979 « Je sais tout » No.21; NOV. 1906
画像Crédit d’image : ©www.huysmans.org

[ Ψ 蛇足 ]
J.- K.ユイスマンス(Joris-Karl Huysmans, 1848-1907)は19世紀後半の特異な題材と文体を持った作家、美術評論家である。上掲の代表作「大伽藍」(La Cathédrale, 1898)、「出発」(En route, 1895)のほかに「彼方」(Là-bas, 1891)、「さかしま」(A rebous, 1884)などで神秘的、呪詛的な世界に踏み込んだ人間の独特な心身の変容を描いた。
その後中世キリスト教への興味を深め、上記のような「シーダムの聖女リドヴィヌ」(Sainte Lydwine de Schiedam, 1901)のような著作や、1903年3月に訪れた巡礼地ルルドでの見聞と思索とをまとめた「ルルドの群集」(Les Foules de Lourdes, 1906)を出した。この原題の群衆は通常単数形(la foule)で表わすが、群衆があまりにも多種多様のため、あえて複数形(les foules)にしたものと思われる。下記の[ ユイスマンス専門サイト ]にある略年譜でも記されているように、信仰の深さとは裏腹の、人々の願望の卑屈さ・下劣さ、貢物や装飾の悪趣味さなどを冷やかに吐露している。
ユイスマンスの「ルルドの群集」_f0028703_17402266.jpg
年譜によると翌11月には最後の遺言状を作成し、遺言執行人としてリュシアン・デカーヴ(9/27参照)を指名している。よほど体調が思わしくなかったのだろうか。まだ58歳である。
画像(→)はルルドの駅の乗降客。

*参考サイト:
(1) フランス政府観光局オフィシャルサイト:ルルド(和文)
(2) 巡礼地ルルドの公式サイトLourdes-france.orgにある聖女ベルナデット紹介: Bernadette Soubirous(仏文・英文)
(3) ユイスマンス専門サイト:www.huysmans.org(膨大な質量を誇る資料でまさにユイスマンス専門WEB図書館と呼ぶにふさわしい設備;原作も参照できる)(仏文・英文)
(4) シーダムの聖女リドヴィヌ(Sainte Lydwine de Schiedam, 1380-1433)の解説:「聖人伝」Vies des Saints : SAINTE LYDWINE de SCHIEDAM(仏文)
(5) 松岡正剛氏の千夜千冊のサイト#990:ユイスマンス「さかしま」は、一読に値する書評である。一つのユイスマンス概論とも言える。(和文)
この中には、上記の聖女リドヴィヌの評伝『腐爛の華』(田辺貞之助・訳、1984 国書刊行会)、および『ルルドの群集』(田辺保・訳、1994 国書刊行会)の紹介もある。
by utsushihara | 2006-10-05 17:32 | 文芸、評論1905-06