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フランス国立図書館(BNF)のデジタル書庫"Gallica"で見つけた百年前の月刊誌「ジュセトゥ」(Je sais tout=私はすべてを知る、という意味)や新聞「フィガロ」(Figaro)等から記事や画像を紹介。(現在1910年で進行中)


by utsushihara

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モーリス・ルブランの劇作「憐れみ」

モーリス・ルブランの劇作「憐れみ」_f0028703_22505335.jpg1906年5月7日(月)

「アルセーヌ・ルパンの冒険」の作者モーリス・ルブラン氏の初の劇作品「憐れみ」(Pitié)が5月7日、アントワーヌ座で上演された。この作品は3幕の速い展開の異質な主題ながら真面目な感動に満たされている。それは神経質な女と結婚した一人の男の話で、彼はそのために耐え難い人生を送ることになるが、憐れみの情をもって彼女のもとに留まるという内容である。批評家たちはこの作品を大いに賞賛している。主演はヴァン・ドレン嬢とカペラーニ氏である。

出典:BNF-Gallica #102978 « Je sais tout » No.17; Juin, 1906

[ Ψ 蛇足 ]
雑誌「ジュセトゥ」(Je sais tout) 1905年7月号に第1作「アレセーヌ・ルパンの逮捕」(Arrestation d'Arsène Lupin)が発表されて以来、同年12月号に第2作「アルセーヌ・ルパンの並外れた生活」(Vie extraordinaire d'Arsène Lupin)など、1906年には次第に連載の間隔が短縮されていき、いかに続編を読者が読みたがっていたかがうかがえる。モーリス・ルブラン(Maurice Leblanc, 1864-1941) はしかしながら純文学作家としての名声を確立したいという希望を持ち続けており、上記のような深刻な劇作にも挑戦したのではないかと思われる。このとき彼はまだ42歳である。
by utsushihara | 2006-05-07 22:51 | オペラ、音楽、演劇1907-08